2015年に新設された国家資格「公認心理師」
全国のスクールカウンセラーの資格要件でもある「臨床心理士」は民間資格ですが、心理職の資格における知名度では公認心理師を上回っているのが現状です
知名度だけでなく、受験の難しさという点でも上回っています。まず受験資格を得るのが難しく、指定の大学院を修了しなければならない。でも、私が大学時代に、臨床心理士を諦めたのは、難易度が理由ではありません。負け犬の遠吠えと言わずに聴いてください。
臨床心理士は食えない!
ヒットドラマ(原作は漫画)の逃げ恥…「逃げるが恥だが役に立つ」の主人公みくりが例になります。みくりは冒頭、臨床心理士の資格を持て余す派遣社員で、派遣切りに遭うわけです。ワーキングプアです。
苦労して臨床心理士になって、スクールカウンセラーや、病院などの心理職に運よく就けたとしても、非常勤職員。
ひどい場合には有給休暇も、産休育休もない。夏休みに入る前にバイトを探さないといけないスクールカウンセラーがいる。
月収14万で心のケアしろって言われても支援が必要なのはどちらですか…と。
家庭内の児童虐待が表面化して、責任追及された児童相談所の人手不足が叫ばれたり、過労死の遺族が会社を訴え、いよいよやっとの働き方改革…
心のケアが求められているってみんな知ってることです。
ここ数年で一般的になったテーマではあるけれど、10年位前から虐待のニュースや日本人が働きすぎなことは、センセーショナルに報道されてはいましたよね?
なぜ専門家を育て、職業として立場向上していかないのか不思議です。
心理学部の教授が、大学の最後の最後の授業か何かで、いつになく申し訳無さそうで、歯切れが悪そうに資格の話をしていたのをよく覚えています。
きっと無駄にはならないだとか
そのために今みんな学者たちは戦っているとか…
何を言っているかよくわからなかったです
心理学科や心理学部が創設される大学が増えて、それでも殺到して倍率も高かったのに、社会学部や文学部卒と同じような就職先で、損した気分でした。
みくりも似たようなこと言っていて嬉しくなりました。
心理学の権威たちが戦ったのは白い巨塔…医療との争いのようです。
公認心理士試験に頻出になっているテーマに「主治医がいるクライエントの方針は主治医の指示による」というのがあります。
この譲歩によって国家資格が実現したのではないかという人も多いです。
心の専門家になりたい。その夢を諦めた時の気分を持ってすれば心理職国家資格化のニュースを聴いた瞬間の気持ちは「意外と早かったな」でした。
公認心理師法施行後5年の特別措置で、実務経験が受験資格になるという情報は、児童館職員の私にも大いに関係があって、なんだかんだで夫に扶養されている身としては、食えないことはもはやあまり関係ないわけで、そうして私は公認心理師受験生となったのです。